日本史上最強のエコノミストで打線組んでみた──『偉人たちの経済政策』

偉人たちの経済政策 (角川新書)

偉人たちの経済政策 (角川新書)

 

『偉人たちの経済政策』は、日本史上の偉人たちの経済政策に着目した一冊だ。著者は、小泉政権で経済政策のブレーンを務めた経済学者の竹中平蔵氏である。

実をいうと、私は歴史の本を読むのが、あまり得意ではない。もちろん教養としての歴史の重要性は理解しているつもりだ。しかし、歴史には、科学や経済学のような即効性はないから、学ぶモチベーションに欠ける。覚えきれないほどの人名が出てくるのも、暗記物嫌いの私には辛いところだ。

そんな私でも、『偉人たちの経済政策』は一気読みしてしまった。それは、日本史の本なのに、まるでビジネス書を読んでいるような感覚で読めるからだ。竹中氏は、まるで現代のエコノミストを批評するかのように、織田信長徳川吉宗といった偉人たちを論じるのだ。一例として、以下の竹中氏による織田信長評を読んでみてほしい。

信長の経済政策として有名なものに、「楽市楽座」がある。

(中略)

こうした信長の経済政策にラベルを貼るとすれば、彼はイノベーター(革新者)というよりもアーリーアダプターであった。アーリーアダプターというのは、革新的な手法や商品を誰よりも 早く導入する人である。

もう一つ別の事例として、鉄砲が挙げられる。鉄砲は、どの戦国大名も合戦の武器として取り入れているが、信長は誰よりも早く本格的に戦術の中に取り入れた。

竹中平蔵著『偉人たちの経済政策』p89より引用

織田信長アーリーアダプターというマーケティング用語で形容することで、「歴史の教科書の住人としての信長」ではなく、超優秀なエコノミストとしての信長像が浮き彫りにされる。

このように、『偉人たちの経済政策』は、いわば「日本史上最強のエコノミストで打線組んでみた」といったようなノリの一冊だ。本書で紹介される最強エコノミストたちを列挙すると、聖徳太子中大兄皇子平清盛織田信長豊臣秀吉徳川家康徳川吉宗大久保利通後藤新平高橋是清池田勇人...etc。さもありなんといった人物から、「まさかこの人名が挙がるとは」という意外性のある人物まで、さまざまである。ぜひ本書を読み、これらの偉人の活躍ぶりを確かめていただきたい。