【書評】ジャズを聴きながら読みたい──『ジャズ・ガイドブック』

「好きな音楽は?」と聞かれたら、キメ顔で「ジャズ」と答えてみたい。そんな阿呆な願望を叶えるためだけに、私は最近 (とは言っても、1年くらい前から)、ジャズを聴き齧っている。しかし、「ジャズを聴くことは知的だ」というイメージは、すなわち「ジャズは難解である」というイメージの裏返しでもある。実際、ジャズを聴くようになって1年ほど経っても、"ジャズを語れる"レベルには至っていない。これではアカンと思い、"ジャズの分かる男"への進化を図るべく、内藤遊人著『ジャズ・ガイドブック』を読んでみた。

ジャズ・ガイドブック (ちくま新書)

ジャズ・ガイドブック (ちくま新書)

 

内藤遊人氏は、ジャズ雑誌の編集者、評論家、音楽プロデューサーとして、ジャズの魅力を広める活動を行っている。『ジャズ・ガイドブック』も、ジャズ愛好家ではなく、むしろジャズ初心者向けに書かれている。マイルス・デイヴィスジョン・コルトレーンセロニアス・モンク...といった名ジャズ・ミュージシャンたちの、音楽性や人間性を紹介している。また、それを"耳で"理解するのにオススメのアルバムや名曲がピックアップされている。

ただし、ジャズについて一切知らない人が、『ジャズ・ガイドブック』を"ただ単に"読んだところで、面白い読書体験にはならないだろう。私は有名どころのアルバムは一通りは聞いたことがある (主に中山康樹著『ジャズの名盤入門』を参考に聴いてきた)。だから、ミュージシャンやアルバムの名前が次々と出されても、その曲を脳内でイメージ再生しながら読み進めることができた。けれども、そんな固有名詞を全く知らないジャズ未経験者が本書を読んだところで、嫌気がさすだけだろう。

ジャズの名盤入門 (講談社現代新書)

ジャズの名盤入門 (講談社現代新書)

 

そんなジャズ未経験者には、"ただ単に"読むだけでなく、登場する曲を実際に聴きながら読み進めることを推奨したい。私自身も、知らないミュージシャンやアルバムが登場するたびに、Amazon Musicで検索し、著者の言葉での表現と実際の演奏とを照らし合わせながら、読み進めていた。ひと昔前ならば、ジャズを究めるには、アルバムを一枚一枚買う、あるいは借りる必要があった。幸い今や、SpotifyAmazon Musicのような音楽配信サービスがある。お金も手間もかけずに、"ジャズを究める"ことのできる環境にあるのだ。昔よりも、ジャズを嗜むことへのハードルが下がっているといえよう。

嬉しいことに、本書の巻末には「ジャズ・アルバム入門ベスト100」という、ジャズ入門者向けにセレクトされた、名盤のリストが付いている (個人的には、これが一番の収穫だった)。皆さんも『ジャズ・ガイドブック』を読み、"ジャズが分かる人"への一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。私は一歩だけ先で待っている。

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